最初に作ったのは茶匙だったか…
遠い昔のことだ。
多分。
昔古道具屋で買った茶匙。
竹で作られたそれは少し反り返った板を使ったシンプルなものでなにに使うのかよくわからなかった。
古道具屋のオーナーが茶匙だと教えてくれたのだった。
これならガラスでできるかもしれない。
そう思って作り出したのだったが…
とにかく削る。
半端なく削る 。
最初の形からは想像できないその形
とてもシャープなものだった。
できた時は茶匙というのを忘れてしまうほど形が好きだった。
もう彫刻でいいんじゃないかと思うほど…
その手間で作れば当然価格は高くなってしまう。
当然そんな売れるものではなくていつの間にか作らなくなっていったのだった。
今想うのは こういうの普通に使えたらいいなと思う。
普通に使えないわけじゃない。
普通には使わないだけだ。
価格か、ガラス独特の われる というイメージか むしろその両方か。
もしそういうものが日常の中で
いる場所を見つけたら
きっと素敵だと思う。
そんな想いでまた作ってみようかと思ってる。
だって無いから…
モノがモノであるという前提はきっと
存在するかどうかだ。
売れるとか売れないで決まるモノ作りは
大きな社会にまかせてな
俺は小さな趣味のような彫刻をつくることにしよう。
きっとそれは匙のような形をしているのだろうよ…
そんなのもあっていい。
加倉井秀昭
scratch&noise
加倉井 秀昭