コラム_第十五回 - h-collection|廣島晴弥

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コラム_第十五回

 

 

column
コラム

 

 

共に暮らす道具たち

SHAPE&DECORATION vol.4より

 

 

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 最終回

くろの冷酒器

 

 

 

するするすると棒をひく
溶けたガラスの棒をひく。

それを束ねて捻ったコップをひとつ。
も一つ束ねて逆に捻って二つを重ねる。
これはベネツィアングラスの古い技法。

ぺてぺてぺてと金を塗る
蓋と注ぎ口に金を塗る。

それを窯で焼いて焼き付ける。

ぐいっとぐいっと真鍮と銅の棒をよる
とんかとんかとそれを打つ。

それを曲げて持ち手にする。
これは古くもなんともないカクライの勝手な技法。

それらが組み合わさってバランスする。

売れるとか売れないとか
形になる喜びって別なものなのかもしれない。

のだが。

どしても高くなっちまうんだね…
生活によりそう道具。
素敵なことだと思う
見知らぬ人々の生活を素敵に支えることだ。

が。

道具で変わるなにか。
道具で始まる生活もあるかもしれない
それには柔らかい思い付きと 少しの度胸
それと少しじゃないお金もかかるかもしれない。

でもきっとそういうモノでしか味わえないものがあって
そういう機会でしか出逢えない瞬間はあると思う。

自分の作ったモノが人の生活を目覚めさせて
その瞬間を届けることが出来れば素敵だ。
気に入ってほんの少しではない金額を払ってその夢を見てくれる人がいるから

自分はきっとほんの少しではない時間と手間と技術を使えるのであろうよ。

少し捻くれた僕からの提案はきっとそんなだ。

感謝をこめて。

 

加倉井秀昭

 

 

 

 

 

 

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scratch&noise
加倉井 秀昭

 

 

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